カテゴリー別アーカイブ: 不動産の知識

旧宅

(旧)住宅地造成事業に関する法律という法律に基づいて宅地造成された土地は、その土地が現在は市街化調整区域であっても、用途や区画形質等を変更しないのであれば建物の再建築が認められます。

この住宅地造成事業に関する法律は昭和39年に施行され、昭和43年に現在の都市計画法が施行されるのに伴い、廃止されています。

市街化区域や市街化調整区域などは都市計画法にて定められていますので、上記の様にこの2つの法律が成立した経緯を知ると、現在は市街化調整区域なのに(旧)住宅地造成事業に関する法律という法律に基づいて宅地造成された土地は、再建築が可能というのは非常に納得できます。

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地面師①

積水ハウスが品川区西五反田2丁目の2009.76㎡の土地を売主になりすました地面師に55.5億円をだまし取られた事件がありました。

不動産の所有権移転登記をするには、権利書(登記識別情報通知)、実印、印鑑証明書、評価証明書、所有者の身分証明書(運転免許証等)等を用意し、実際に代金の授受が行われれば、依頼した司法書士の先生が法務局に申請をしてくれます。

地面師(グループ)が売主個人のパスポートや印鑑登録証明書等を偽造したようです。おそらく権利書(登記識別情報通知)と評価証明書は偽造していないと思います。権利書がなくても司法書士が本人確認情報という書類を法務局に提出することで権利書に代えられます。評価証明書も司法書士が職権で役所から取得することができますし、あるいは委任状を偽造すれば誰でも取得することができてしまいます。

この事件では土地の売買契約が第三者のためにする契約(新中間省略登記)によって行われたようです。まず平成29年4月24日に売主になりすました地面師とIKUTA HOLDINGS㈱が売買予約契約を結び、さらに同日にIKUTA HOLDINGS㈱と積水ハウスが他人物売買予約契約を結び手付金として15億円を支払ったようです。

対象の土地の登記を確認すると、4月24日にIKUTA HOLDINGS㈱が所有権移転請求権仮登記をしており、同日に積水ハウスがその所有権移転請求権の移転請求権仮登記をしています。

所有権移転請求権仮登記をする際に法務局に売主の印鑑証明書と評価証明書を提出する必要があります。この際に偽造した売主の印鑑証明書が使われ、法務局は偽造されたものとは見破れなかったのか仮登記がされてしまいました。

その後、6月1日に残代金の決済が行われ、積水ハウスは40.5億円をIKUTA HOLDINGS㈱に支払い、所有権移転登記を同日申請しました。しかし、6月9日に法務局が不真正な書類ありということで登記申請が却下されています。ここで初めて積水ハウスは詐欺の被害にあったことが分かったのでしょう。その後、地面師とは一切連絡は取れないそうです。

不思議なことに、4月24日の売買予約契約をした際は、法務局は偽造された印鑑証明書を見破れず仮登記をしてしまっているのに、決済時の所有権移転登記申請を受けた際は偽造された印鑑証明書を見破れたことです。

一度法務局も騙されていることから、この偽造された印鑑証明書はものすごく精巧にできていたはずです。ただ仮登記の申請があった際に法務局が偽造に気づければ積水ハウスの被害は15億円で済んだはずです。さらに積水ハウスも売買予約契約をする前に売主の確認をしっかりやっていれば地面師に事前に気づけたかもしれません。

もしかしたらですが、積水ハウスは薄々地面師に気づいていながら強引に取引を進めてしまった可能性も否定できないような気がします。

長くなりましたので続きは次回に回します。

 

 

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Starbucks Effect.

スターバックスのお店がオープンすると周辺の不動産価格へ多少なりとも好影響があるように思います。アメリカのZillowという不動産検索サイトを運営している会社の方がアメリカの住宅の価格の記録を基にスターバックスのお店から400m以内とそれ以外で比べた結果によると、スターバックスのお店から400m以内の住宅の取引価格はそれ以外の家より34%程高く、1997年から2014年までの間の価格の上昇率も31%程高かったそうです。

“…the historical home value appreciation of areas that now are located within a quarter mile of a Starbucks. A home that is now near a Starbucks would have sold, on average, for $137,000. A home that is not near a Starbucks would have sold, on average, for $102,000.

Fast-forward 17 years to 2014. That average American home has now appreciated 65%, to $168,000. But the Starbucks-adjacent property has far outpaced that, appreciating 96% to $269,000.” (Spencer Rascoff CEO, Zillow & Stan Humphries Chief economist, Zillow)

ただこれだけだとスターバックスのお店が原因で不動産価格が上がったのか、或いはスターバックスのお店が在るところの不動産価格がたまたま上がったのかはっきりしません。これを検証する為に、スターバックスのお店が開店してから5年後の住宅価格の上昇率をスターバックスのお店から400m以内の住宅とスターバックスから400m以上&800m以内の住宅の2種類に分けて比べた結果、400m以内の住宅の上昇率は21%、400m以上&800m以内の住宅の上昇率は17%だったそうです。

多少ですがスターバックスのお店にに近い程、不動産価格の上昇率が高くなる傾向がありそうです。

“…What’s to say that Starbucks is the cause, rather than a consequence, of higher home values?

To attempt to rule out these possibilities, we tracked values of homes in a very tight ring within a quarter mile of Starbucks (so close you could practically smell the dark roast from your front porch) and compared those very-Starbucks-adjacent homes to houses slightly farther away, in a ring of homes between a quarter- and a half-mile from a Starbucks. And we compared home values in these two rings (adjacent and nearby) for only the five years after the Starbucks location actually opened, in order to see whether the effect took place after the opening or already existed before the store opened.

Lo and behold, the adjacent homes beat out the nearby homes. Those houses closest to Starbucks appreciated a little more than 21% over five years, while the houses slightly farther away only appreciated just less than 17%. So, yes, some of the difference is related to the location itself, but there’s still a healthy difference attributable to the arrival of a Starbucks.” (Spencer Rascoff CEO, Zillow & Stan Humphries Chief economist, Zillow)

日本とアメリカでは実際にどのぐらい違いがあるかは分かりませんが、多少なりともスターバックスのお店には近隣の不動産価格を上昇させる力がありそうなので、所有している不動産の近くにスターバックスのお店が開店したら、お店から香るコーヒーの香りと共に喜ぶべきことなのかもしれません。

 

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線を引いても既存宅地確認

 線引き後の既存宅地確認の制度があった当時、既存宅地に該当する土地は全ての用途にて既存宅地確認を役所から受けることができたそうです。住宅が建っていた土地でも、住宅以外のすべての用途の建物用地として既存宅地確認を受けられたそうです。これはかなり優遇されていた制度だったと思います。何故ならば、市街化調整区域内では通常建てることが認められない用途の建物もこの制度を利用すると建てることができてしまったからです。

 なぜこんなに優遇されていたのか分かりませんが、ぜひ当時既存宅地確認を受けた土地を将来的にも生かして行きたいものです。

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